未来のメタルとメタルの未来|METAL GALAXYレビュー

前作「 METAL RESISTANCE 」から3年半を経て、ついに3rdアルバム 「METAL GALAXY」がリリースされました。

長かった。

”ドキドキモーニング”からのファンではあっても、その割に日頃それほど熱心に追いかけるでもない自分ですらそう思うのですから、情熱たぎるファンの方からすればなおさらなんじゃないでしょうか。

とはいえ、3年半という月日の間にBABAYMETALを襲った様々な出来事を思えば、もう一度立ち上がり進むためにはこれだけの時間はきっと必要だったことは想像に難くありません。

そしてようやく完成した「METAL GALAXY」が、ベビメタにとってどのような作品になったのかひも解いていきたいと思います。

真価が問われる三枚目

バンドやアイドルに限らず、どうやら3rdアルバムは鬼門みたいなものらしい。

1作目は何のしがらみもなく自分たちの持ち味を出していけば良いわけだし、2ndはまだまだ変化球が通じる段階。

ストレートと変化球、両の手の内を明かしたあとだからこそ、いよいよその存在の真価が問われるわけです。

それを”ハードルが上がっている状態”と言ったり。

それに加えてベビメタにはこの3年半の間に、オリジナルメンバーYUI-METALの脱退だったり重要なサポートメンバーを失うなど、存続さえも危ぶまれるようなあまりに大きな危機があったわけです。

そんな事情もあって、個人的には3rdアルバムを聴くにあたっては、期待よりも不安の方が大きかったのがホントのところ。

2枚組仕様

さらに不安を増幅させたのが、”METAL GALAXY”がまさかの2枚組であるということ。

確かに3年半ぶりとはいえ、率直に言って16曲っていうのは欲張りすぎのような気もする。

経験上、アルバムの曲数が増えることは単に駄曲の数が増す確率が上がるだけがほとんどで、曲数を絞った方が質が高くなる傾向があるような実感もあるからです。

だから当初2枚組と聞いた時は、あまり肯定的にとらえていなかったのが本音。 収録時間も 1枚で収まるくらいコンパクトだったていうのもあるし。

未来のメタルとメタルの未来

商品解説もろくに読まずに注文した結果、予想外の大きさで届いたアナログ盤サイズにビビりつつ勢いそのままに開封し、2枚組のDISCを一気に聴き終えました。

結論から言えば、当初感じていた不安はただの杞憂でしかなかったということ。 そして”METAL GALAXY” が2枚のDISCを持って示したのは”未来のメタルとメタルの未来”という2つのビジョンでした。

DISC1|未来のメタル

DISK1の幕開けは、エレクトロなサウンドが特徴的な”FUTURE METAL”からスタート。

オートチューンを効かせたSU-METALの「これはMETALではない」という言葉から”メタルの銀河”への旅路が始まります。

たしかにDISC1に関してはの1stアルバムに近いような”ごちゃ混ぜ”感の強い楽曲たちが並んでいて、ユーロビートにインドメタル、テクノにラテンと間違いなく未来を感じさせる新しいメタルの形を表すものになっています。

「こんなのメタルじゃない」っていう意見も数多く見かけましたが、そもそもそういう批評自体がベビメタを聞く上ではナンセンスなのでは。

今更?とも思うし、そもそも「いいね!」が許せて「DA DA DANCE」が許せない理由はないでしょう。「メタルじゃない」っていうのはベビメタにとっては誉め言葉ですしね。

METAL RESISTANCE の流れからいえばメタル成分が薄めなのは確かなんだけど、これがBABYMETAが提示する「未来のメタル」なのであって、冒頭の宣言通りつ未来のメタルとはベビメタそのものなのです。

メタルという枠にとらわれない新しい”BABYMETALというジャンル”を示したのが “METAL GALAXY” におけるDISC1の役割ではないでしょうか。

DISC2|メタルの未来

オープニングの ” IN THE NAME OF ”はこちらもインスト曲で ”FUTURE METAL” とは打って変わってゴリゴリのメタルサウンド。いうならセパルトゥラっぽい感じ。

その後は “BxMxC”や”PA PA YA”を除いて、意外なほどスタンダードなメタルナンバーが続いていきます。

特に”Kagerouから”Arkadia”に続く4曲は、 METALではないという意思表明から一転 、従来のベビメタからしてあまりにど直球なメタルナンバーの連続でDISC1の奔放さとは違った意味で面喰らいました。

これら4曲の流れはファンからも絶賛されているようなのですが、個人的にはそれらの評価には当初は賛同しかねていました。

BABYMETALである必要性

そもそもベビメタはマニアが顔をしかめるような、既存のメタルの枠にはまらない斬新さが魅力のはず。普通のメタルを聞きたいのなら、あえてベビメタを聞く理由なんてこれっぽっちもないわけなのです。

ただカワイイ女の子たちがメタルをやってるだけでは、今のベビメタがあるはずもなく。

しかしこれらの楽曲(特にArkadia)が絶賛されているということは、ファンが望んでいたのは結局ただのメタルだったんだなあという違和感もあるし、DISC1がメタルじゃないと非難される理由もベビメタのアイデンティティから言ってもよく分からない。

だからはじめてDISC2を聞いた時には、「単純にベビメタがやる音楽なのか?」という疑問が頭に浮かんできました。

しかし本作を繰り返し聞き続け、なぜ2枚組というフォーマットを選び、その内の一枚にここまでストレートなメタルを放ってきたのか?という理由を考えた時、BABYMETALのある覚悟を感じ取ることができるようになりました。

メタルの未来を背負う覚悟

2枚組という形をとったのには、シンプルに楽曲のカラーを統一するような意図も少なからずあった思われます。

しかし、それ以上に感じたのはメタルに対する矜持です。

そしてそれはそのまま”メタルの未来”を背負っていくベビメタからの決意表明のように思えました。

DISC1では既存のメタルとは違ったBABYMETAL という新しいジャンルの誕生を宣言しているのであって、決してメタルを否定しているわけではないんですよね。そしてDISC2では既存のメタルが持つ可能性を、改めてBABYMETALという異端児が純度100%のメタルナンバーを並べたことで、メタルというジャンル自体を背負う覚悟を示したんじゃないかと。

DISC1がメタルの幅を広げる横軸を担うものならば、DISC2は既存のメタルを深化させる縦軸の伸びを表していて、その空間が”メタルの銀河”を形成していると考えればアルバムタイトルにも2枚組という仕様にも納得がいきます。

もちろんBABYMETALが普通のメタルをすることに対して手放しで賛同できるわけではなもないし、英語詞の増加にも疑問符が付くけれど、SU-METALという圧倒的な強度を持つパーソナリティの前ではそんな事は無意味なものになっちゃうんですよね。

BABYMETALのスタンダード

思うに”METAL GALAXY”はBABYMETALにとって自身の名刺代わりになるような”ベビメタ自身のスタンダード”を示す作品にしたかったんじゃないかと。

この消費過多の時代に「BABYMETALってどんなグループなんだい?」っていうボブの問いに一発でこたえられるようなアルバムがを作りたかった。むしろ作る必要があった。

そしてその答えが “METAL GALAXY” にあります。